ヨットを始めたいけどどうやって始めたらいいのかわからない、そんな人向けにセーリングの基本と始め方をまとめました。

セーリングを始める前に
どんなボートに乗るか?
どんな楽しみ方があるか?
どうやってはじめるか?
海へ出よう
自分の船を持つには


どんなボートに乗るか?

まずはどんなヨット(セーリングボート)があるのか理解しましょう。
日本ではセーリングボートをヨットと呼んでいますが、 欧米ではyachtの意味は個人で所有する豪華な船のことです。 よって、本来は帆で走る大きなクルーザをセーリングヨットと呼び、 帆がなくてもエンジンで走る大きなクルーザがモータヨットです。
これらを分類すると次のようになります。

セーリングボート モータボート
セーリングディンギー セーリングクルーザ ランナバウト モータクルーザ
主な動力 セール(風力) エンジン(ガソリンあるいはディーゼル)
艇長 10〜20feet
〜6m位まで
20feet〜
6m〜
20〜25feet
〜7.5m位まで
25feet〜
7.5m〜
キャビン
(バース・ギャレー・ヘッド等)
なし あり ないものが多い あり
定員 2名位まで 平均的には8名程度 平均的には8名程度 平均的には10名程度
エンジン なし あり
小型船舶免許 不要 必要
備考 日本語ではヨット 日本語ではヨット、欧米では特に大きなものをsailing yacht 高速で滑走する小型のボートをランナバウトと呼ぶ。日本語ではモータボートというとこのタイプが多い。
ランナバウトではないが釣り用に使うようなもっと小さいボートやインフレータブルもある。
日本語では単にクルーザと言われることが多い。特に大きなものを欧米ではmotor yacht。他にもトローラボートやハウスボートなどいろいろな種類がある。

どんな楽しみ方があるか?

ここではセーリングクルーザの楽しみ方を分類します。次の表に示すようにクルージング派とレース派に分類できます。自分はどちらの楽しみ方をしたいのか考えておいた方がセーリングを始めて「こんなはずじゃなかった」と思うことがなくなるでしょう。

クルージング派
(ブルーウォータ派)
デイクルージング
ショートクルージング
1日か数日程度のクルージング。セーリングクルーザの速力は艇のサイズによりますが、概ね5knot(9km/h)前後ですので、デイクルージングでは15〜20mile圏(27km〜36km圏)が行動エリアになります。
ロングクルージング 1週間位可能の期間があれば島巡り(関東なら伊豆諸島など)が可能です。経験と外洋航海向きの艇さがあれば日本一周や世界一周もできます。
レース派 レベル クラブレース マリーナのヨットクラブなどで主催され比較的参加条件が低く参加しやすいレース
本格レース 参加に一定の資格・技術を必要とするレース
コース インショアレース ブイを回るレース。ソーセージコース(風上と風下の2つのブイ)、トライアングルコース(3つのブイによる三角コース)の2種類がある。レース時間は数時間程度。
オフショアレース 島周りなど海上の目標物を巡るレース。1日くらいのレースから、大規模な本格レースでは単独無帰港世界一周もある。

どうやってはじめるか?

セーリング技術を身に付けることのできる場所はまだまだ多くありません。セーリングクルーザの船長(艇長)は小型船舶免許を所持している必要がありますが、免許の講習ではモータボートの操船は教えてくれても、セーリングボートの操船方法については教えてくれません。 そこで次のような方法があります。
・セーリングスクールに入る :ディンギーのセーリングスクールは比較的多いですが、最近少しずつクルーザのスクールも増えてきました。ディンギーのスクールでもセーリングについての知識は十分つきますが、ディンギーとクルーザではやはり差分も沢山あります。スクールについては舵社の月刊誌「KAZI」にもよく紹介されているので参考にしてください。
・クラブに入る :セーリングクルーザを動かすには通常は何人もの人手が必要になりますので、クルーを求めている艇が少なくありません。そのような艇(クラブ)に乗せてもらって技術を身に付けるのが一般的です。クラブを探すにはインターネットで検索しても多くのサイトが見つかりますし、舵社の月刊誌「KAZI」の文末にも募集記事が掲載されています。
クラブには上述したようにクルージングを主体にしたところからレースを主体にしたところまでいろいろあります。また、雰囲気も体育会系のところもあれば、同好会のように和気あいあいのところまで、会費も無料・有料といろいろです。たいていのクラブでは試乗が可能ですから一度は参加してみて自分にあうクラブを探すのが大切です。 【クラブの情報】
・オーナになる :いきなり艇を買ってしまうという方法もあるでしょう。 しかしセーリングについて何も知らずに一人で海にでるのは危険な行為ですので、 経験のあるクルーを確保する必要があります。経済的に余裕があるならクルーを雇うこともできるでしょう。ただし、艇長は免許の所持者。オーナが免許を持っていてもセーリングの経験がないのであれば、実質的には有能なクルーが艇長を務めることになるでしょうから、オーナだからといって経験がないのに艇長になるのは安全上避けるべきです。
言うまでもないことですが、艇の最高権限を持つのは艇長ですし、事故の責任を取るのも艇長です。このことからも、オーナと艇長が一致しないのは少し歪んだ体制のように思います。個人的には、オーナが艇長を務めることができるように、前述のいずれかの方法でセーリング技術をオーナが有しているべきと考えます。


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